俳優はセリフを覚えないとダメだけど、声優は台本を持ってるから大丈夫?
と思いますが、まず声優志望なら誰もが通る「外郎売り」を覚えたり、演技レッスンのセリフを覚えたり、仕事になったらイベントの進行台本や歌の歌詞など覚えることは結構あります。
そこで今回は「毎月2作品を1年間、最大12ページの一人セリフを覚えた」こともある私が、長いセリフを覚える・暗記のコツを紹介していきます。
正しくやれば、翌日に7割程度は残るようになるので、ぜひ試してみてくださいね。
プレゼンの台本を覚えるのにも活用できるので、声優志望以外の方も是非読んでみてください。
こんにちわ!現役声優・ナレーター・演劇団体代表の「しいな」です!
名前は明かせないけど、声優を目指す人なら必ず一度は耳にする事務所に所属しています!
セリフ覚えのコツをつかんで苦手意識をなくしまくしょう。
セリフが覚えられない、すぐに忘れてしまう理由は?
声に出して読む・ノートに書くという丸暗記は、時間が経つと忘れてしまったり肝心なときに思い出せなくて効率が良くありません。
記憶には、短期記憶(脳の海馬に記憶)と長期記憶(大脳皮質に記憶)があって、いわゆる丸暗記は海馬に記憶される短期記憶です。
海馬くんは、比較的早く覚えてくれますがすぐに忘れます。
大脳皮質さんは普段「命にかかわるような重要なこと」を覚えているので、一度覚えると忘れにくいというキャラ設定があります。
このキャラ設定をうまく利用して、大脳皮質さんに「セリフは重要だから覚えておこう」と勘違いさせると、効率よくセリフを覚えることができます。
【セリフを覚えるコツ1】時間よりも回数が大事!
セリフを覚えるときには、
A:1行を3分かけて覚える(3分×10行=30分)
B:10行を何度も繰り返す(10行1分×30回)
同じ30分をかけるならAの覚え方よりも、Bのほうが効率良く覚えられます。
Aの方法で覚えた海馬(短期記憶)くんは、10行覚えたあと最初の1行目は忘れています。
Bの覚え方で何度も繰り返すと、大脳皮質(長期記憶)さんが「セリフは命にかかわる!大切!」と勘違いしてくれて、記憶に残りやすくなります。
最初はさらっと読むだけで大丈夫です。
【セリフを覚えるコツ2】イメージと一緒に覚える
覚えるときには、イメージと一緒に覚えることで記憶に残りやすく、また思い出せないときもイメージから引き出すことができます。
例文:外郎売りの冒頭のセリフ
下の文章は「外郎売り」という歌舞伎のセリフの冒頭部分です。
「拙者親方と申すは、お立会の中に御存じのお方もござりましょうが、
お江戸を発って二十里上方、相州小田原一色町をお過ぎなされて…」
初めて読む方は一体なんのことやら…と思うでしょう。
覚えるときに周りの風景や人・物・語呂合わせを使ってイメージすることで、さらに記憶効率があがります。
「外郎売り」の全文を読みたい方は縦書き外郎売り全文!現代語訳ふりがな付からダウンロードできるので、どうぞ!
縦書きで、ふりがなもふってあるので、良かったら練習に使ってみてください。
風景や人・物・語呂合わせを使ってイメージする!
「拙者親方と申すは、お立会の中に御存じのお方もござりましょうが、
お江戸を発って二十里上方、相州小田原一色町をお過ぎなされて…」
かなり無茶なイメージ付けですが、無茶なほど印象に残りやすくなります。
もし忘れても「虹色のウリの髪型」のイメージが思い出せれば「二十里上方」の言葉が引き出せます。
また時代物の独特な言い回しが覚えにくときは、自分の言葉に変換することで内容や流れを覚えやすくなります。
「お立会いの内に=さっきからいた人は」
語呂合わせやイメージ付けは、覚えづらい専門用語や人名・地名などに使うのがオススメです。
イメージの応用編
覚え方とは少し違いますが、私はイメージを細部まで作り映像のようにして覚えています。
先ほどの外郎売りだと、立会いの人が何人居て、誰に語りかけているか、距離は、後ろに何があるか、音は、気温は等々を想像して一枚の写真のようにします。
この写真(または動画)を思い出すことで、一瞬で多くの情報や感情引き出せるようになります。
さすがに訓練が必要ですが、イメージと一緒に覚えることを応用するとこういったことも出来るようになりますよ。
【セリフを覚えるコツ3】アウトプット(出力・発信)をする
覚えるときには声に出す・ノートに書く・誰かに説明するなどアウトプット(出力・発信)することで、記憶が固定されやすくなります。
覚えたてのときはざっくりとした「あらすじ」で大丈夫です。
「拙者の親分は、お立会いの方は分かるでしょうが、江戸を出て虹瓜の上方…」
まずはストーリーを覚えてから、細かい部分を修正していきます。
間違った部分は短期記憶なので、正しい内容を覚えなおせば大丈夫です。
【セリフを覚えるコツ4】仕上げは「寝る」こと!
そのままですが、ある程度覚えたら寝ます。
寝ることで脳内の記憶が整理されて定着します。
「寝たらせっかく覚えたことを忘れそう…」と思いがちですが、
脳は日中に学習した情報を、睡眠中に再活性化し、記憶の整理(定着・消去)を行っていると考えられています
スイミンネット 記憶の整理と睡眠
といわれているので安心して寝てください。
このとき大切なのは、一度覚えたら思い返しをしないことです。
思い返して「あそこはどうだったっけ…あれ?」となったまま寝ると「あれ?」の記憶が定着してしまうので、覚えたらセリフのことを一切考えずに寝ます。
美味しいものを食べてお風呂に入ってそのまま寝てしまいましょう。
すると翌朝には覚えたことが残っています(お昼寝でもOK)
忘れた部分を覚え直して続きを覚えると、長いセリフでも覚えることができますよ。
まとめ
私はこの方法で覚えていますが、人によっては覚えにくいかも知れません。
大切なのはセリフを覚えられるか・自分に合っているかです。
覚え方のコツは人それぞれなので、もし合わないようなら他の方法も試してくださいね。